蜃気楼のように消えた謎の訪問者
主人公をじっと見つめるひとりの少女。「ニ・ゲ・ロ」と繰り返す謎の声。そして悲鳴……。
物語は主人公の悪夢から始まる。
悪夢のせいで沈鬱となった気分を打ち消すために、仕事である書庫の整理を始めることにした。
地下にある書庫に下り、整理を始めようとしたそのとき、偶然手に取った1冊の本に興味を惹かれる。それは特にこれといって特徴があるわけでもない、古びた子供向けの童話集だった。
本に目を通していると、突然、1階から訪問を告げる声がする。玄関に向かうと、そこには30歳くらいの見知らぬ女性が立っていた。
女性は、自分の子供を探しにやってきたのだと云う。主人公は、ここが図書館であることを告げると、なぜかその女性は子供がいることを確信し、「息子を、薫をよろしくお願いします」とだけ言い残して姿を消してします。
まるで蜃気楼のように……。
喫茶店にて
謎の女性の訪問に気味が悪くなった主人公は、図書館を出て、奥音里に来てからいつも利用する喫茶店へと向かった。パートナーと落ち合い、図書館を訪れた謎の女性について語る。「女性が幽霊ではないか」という主人公を最初は笑って聞いていたが、童話集の表紙の裏に「薫」という名が書かれているのを見つけると、とたんに興味を持ち始めた。
結局、ふたりでこの本について調べることになる。
薫の正体が明らかに
本を寄贈した人物…、蔵書録を調べると「成瀬 美智子」であることが判明し、話を聴くために成瀬美智子の夫が経営するクリーニング店に向かった。
本を見た美智子はすぐに思い出し、ふたりにこの本の持ち主であった「木谷ハナエ」という女性と、その息子の「木谷薫」について語りはじめた…。
図書館の噂
美智子にこれ以上話を聴く必要はないと感じたふたりは、クリーニング店をあとにして、いったん図書館に戻ることにした。
バスで帰る途中、運転手に声をかけられる。運転手の名前は「氷川 小咲夜」。主人公たちが野々宮図書館で働いていることを知った小咲夜は、図書館にまつわる噂を語りはじめた。
『それにしてもよく働く気になったよね。あの図書館、幽霊が出るらしいじゃん……』
薫との対面
薫本人に話を聞くため、田所から彼の住所を教えてもらい、訪問する。そこで初めて、彼の名字が「木谷」から「三田村」に変わっていることを知る。大分前に父親に引き取られたためだという。
薫に会うことができた主人公は、自分が野々宮図書館の者であることを告げ、彼に渦中の童話集について話を聴こうとしたのだが……