心躍る朝
ある日曜日の朝。
仕事は休みであるにも関わらず、主人公は書庫の整理に勤しんでいた。
急に仕事に目覚めたわけでも、例の怪しい物音で眠りを邪魔されたわけでもない。
パートナーからのデートのお誘いつき暑中見舞い──
昨夜はこの手紙のせいで興奮して眠れず、今朝は今朝ではやる気持ちで目覚めてしまい、出かけるまでの時間を書庫の整理にあてたのであった。
出発の時間が近づいたとき、ふと蔵書目録に記載されていない本があったことを思い出す。
『太陽の少女たち』というタイトルの少女向けの小説だった。
多難な前途?
書庫の整理を切り上げた後にもまだ時間があった。
談話室でテレビを見、玄関の電灯をチェックしたりしてようやく野々宮図書館を出る。
列車に乗ってパートナーとの待ち合わせ場所へと向かう。
すると、突然にぎやかな老人たちの一団が主人公の乗っている車両へと乗り込んできて、いきなりカラオケを始める。
戸惑う主人公に老人たちの引率者らしい女性が車両を移ってもらえないかと声をかけてきた。
しばらくすると列車が停止してしまう。
どうやら信号機が停止の指示をだしているようだ。
移動した車両で今度は2人の女子高生に声をかけられる。
丁寧な態度で対応すると列車は動き出し、待ち合わせの時間に送れる
ことなく待ち合わせの場所に到着できた。
パートナーに万引き疑惑?
待ち合わせ場所の書店に到着し、無事パートナーと合流する。
これから楽しいデートかと心をはずませていると、なんとパートナーが万引き犯に間違われてしまう。
なんでもパートナーが気づかぬうちにカバンの中に人気アイドルの写真集が入ってしまっていたのだという。
パートナーを犯人と決めつけて一歩も譲ろうとしない店員。
偶然の出遭い
なんとか万引きの疑いは晴れたものの、パートナーの怒りは収まらない。
馴染みの喫茶店に入り、なだめたりすかしたりしているうちに、ようやく
パートナーの気分も和み、再び佳い雰囲気になりかけたとき…店内に
入ってきたやかましい一団のせいでぶち壊しになる。
だが、芽生えた怒りは驚きに変わる。
件のやかましい一団の中に、人気アイドルの直木さをりを発見したのだ。
思わずさをりに魅入ってしまう主人公。
周囲の雑音に紛れて途切れ途切れに聞こえてくる会話の中に、聞き慣れた本の名前が挙がる。
そう、蔵書目録に載っていない蔵書『太陽の少女たち』だった。
さをりの訪問
図書館にもどり、さっそく田所さんに『太陽の少女たち』を貸し出してくれるように頼み込むものの、許可してくれない。
図書館にある本はすべて持ち出し禁止であると言うのだ。
どんなに説得しても田所は首を縦に振らず、途方に暮れていたところに鬼村巡査が客を連れてきた。
その客とは、なんと驚いたことに直木さをり本人であった。
サブマネージャーの死
さをりに本を貸し出して3日が過ぎた。
忙しい身である彼女のために、主人公はさをりの所属プロダクションの事務所に本を受け取りに行くことにした。
しかし、無人の事務所で待っていたものはさをりではなく、変わり果てた姿となったサブマネージャーの佐川だった……
突然鳴りだす事務所の電話。
躊躇いながらも電話を取る主人公。
電話をかけてきたのは、さをりのチーフマネージャー小池だった。
佐川が殺されていることを伝えると、電話の向こうで取り乱した小池の声。
佐川の死を聞いて動転したさをりが外に飛び出していったらしい。
小池は主人公に、その場から逃げて管理室から警察に通報するように言うと
電話を切ってしまった。