Interview

「ジャンプSQ.」誌面連動!特別企画!
ミュージカル『憂国のモリアーティ』スペシャル座談会

原作:三好 輝&
ウィリアム・ジェームズ・モリアーティ役:鈴木勝吾&
シャーロック・ホームズ役:平野良

ジャンプSQ.5月号に掲載された『憂国のモリアーティ』原作の三好 輝先生と、ウィリアム・ジェームズ・モリアーティ役・鈴木勝吾さん、シャーロック・ホームズ役・平野良さんの座談会より、SQ.誌面に載せきれなかったトークを特別に公開! SQ.誌面と合わせてお楽しみください!

新しい3人ならではの三兄弟を見つけたい

――5月から開幕するミュージカル『憂国のモリアーティ』大英帝国の醜聞 Repriseでは、新キャストとしてまずはアルバート役で廣瀬智紀さん、ルイス役で百名ヒロキさんが加わられます。

鈴木 廣瀬さんはお会いしたことがないのですが、各方面から「すごく優しい人だよ!」ということだけ聞いています。今回はマイクロフトと兄さん同士やり合うシーンも多いと思うので、どんなアルバートになるのか楽しみです。ヒロキとはこれまで何度か共演していて人柄も知っているぶん、少し心配しています(笑)。「アグレッシブにやれよ!」ということだけは伝えているのですが、「いやいやいや!」と言うから「そうじゃないんだよ!」という話はしていて。僕にとっては可愛い後輩なので、それも相まってルイスとは良い雰囲気にできるんじゃないかな?と思っています。この3人ならではの三兄弟を見つけたいですね。

――ジョン役は新たに橋本真一さんが務められます。

平野 彼とは今回初共演なのですが、初めて挨拶させていただいたときにちょっとボケたらものすごいツッコんでくれて。

鈴木 なんでちょっと試してるんですか(笑)。でも、属性はケンケンさん(鎌苅健太)と同じなんですね?

平野 ツッコミになった途端、コテコテの関西弁でワンツーで返してきたから(笑)。今後のやりとりが楽しみです。

三好 橋本さんはキャラクターデザインで関わらせていただいた『from ARGONAVIS』に参加されていて、ご縁を感じるというところでも個人的に気になっている方です。

平野 アイリーン邸をジョンと訪ねる『大作戦』も、前作では「やれってことだな、シャーロック?」とケンケンさんの胡散臭い面白さがあったけど。

鈴木 それ、褒めてるの?(笑)

平野 褒めてる褒めてる! それがフレッシュな橋本くんになることで、本当に勘違いしているかのような、可愛らしさがより出るジョンになるのかな?と想像しています。

アンサンブルもスタッフも、全員横並びで作っていくのが『モリミュ』

ミュージカル『憂国のモリアーティ』スペシャル対談

――『モリミュ』を作り上げるうえで、鈴木さんと平野さんが大切にされていることを改めて聞かせてください。

鈴木 一言で言うのが難しいですが、僕は“自分の信念と他者の信念がクロスオーバーすることを恐れない”ですかね。作中のウィリアムの信念とも繋がってくるのですが、“I think that~”なことはいっぱいあって、それを他者と共有し、いろんな意見を取り入れて、ひとつの作品を作り上げていく。言ってしまうと当たり前のことではありますが、特に『モリミュ』ではそれがより活発であれ!と思いながら、「僕はこう思う。君はどう思う?」と問い掛けながらこの5年間を過ごしてきました。演出家、音楽家、プロデューサー、それぞれにいろんな事情があるけれど、等しくこの作品を作るうえでは責任職であれど権利職にはならず、縦ではなく横に並び平らな立ち位置で作っていく。『憂国のモリアーティ』という作品自体が持つテーマとも相まって、特にそこは目指してきたことかもしれません。

平野 キャラクターの信念なり役者としてのエゴなりを、全員が稽古場にちゃんと持ち寄る、ということでしょうか。ラーメンでもそうですけど……。

鈴木 始まりました!

三好 (笑)。

平野 鰹だけのダシより、鰹と昆布のほうが美味しいじゃない?

鈴木 合わせダシのほうがね?(笑)

平野 そこに海老も入れたりしてさ。その結果「何が入っているかは分からないけれど、とにかく美味しい!」とお客様は感じてくれる。その複雑さが『モリミュ』の現場にはあると思っています。面白いと感じていただける裏には、スタッフさん含め全員から出たダシや隠し味がある。それが『モリミュ』のひとつの魅力かなと。

鈴木 そうですね。何かを一緒にクリエーションしていくなかで、あって然るべきと思っていることをみんなでしっかりやろう!と、意気込んで作れていた現場だったかなと思います。

平野 指示待ちだと、演出家のダシ一色になって、面白くないですからね。

鈴木 偉そうなことを言うつもりじゃないんですけど、実際僕が若かった頃よりも、そういう現場は昨今増えてきていると思います。「何番から何番はこうでこうね」「はい!」以上……っていう。もちろん、それが悪いわけではないんですよ。

平野 ひとつのやり方だもんね。

鈴木 そうそう。でもやっぱり、ただこなすだけなのか、何か自分からやってみようとするかで違うものだから、そういう意味で『モリミュ』はいろんな交錯があって良かったな。

平野 それこそモリアーティチームなんて、Op.1や2は特に、誰かが一歩歩くのですら、みんなで会議していたもんね。そのセリフの後に、誰がどこに行くのか、なぜ動くのか?って。

鈴木 「勝吾くんがこっちに行けばいいんじゃない?」「ああ、それなら動けるわ」ってね。Op.2でアイリーン役のせしさん(大湖せしる)が入ってきたときも、クライマックスでどんなミザンス(立ち位置)を付けるか、みんなで考えたな。それに『モリミュ』はアンサンブルが主役という世界観なので彼らの存在も大きくて。そのぶんやるべきことや求めることも多いけれど、彼らも平等にいろんな意見を出してくれていいんです。僕なりに、そういうことが起こりやすい現場にしていこうというのは心がけていたかなと思いますし、良くんもそうだと思います。

――今から稽古が楽しみですね。

平野 楽しみです。Op.2の序盤のシャーロックは情緒不安ですけど、僕も一周回って普通な感じになるかもしれないし。

鈴木 凪いでるんですか?(笑)

平野 そうそう、「病むってなんだっけ?」って考えすぎて「スン……」としているかも(笑)。もう一度新たに作るとなったら、そういうこともあり得るからね。芸術に完成はないと思ってはいるものの、とはいえOp.2は一度幕を閉じているわけで、5年前の若かりし自分との戦いになってくる。そういう意味では、いちばん厄介なのは己かもしれません。

鈴木 そうだよね。ドキドキしちゃうかも。変に迷いたくないな。前作と同じになるのであっても、それはそれでいいんだし。変に向き合いすぎて「何か変えないと!」となるのも欲だから、難しいよね……。

平野 話が逸れるんだけど、10年くらい前に出演した、シアタークリエのミュージカル『SONG WRITERS』が去年再演されたので観に行ったんです。そうしたら、(中川晃教さんの)動きから歌い癖まで、ほぼ10年前のまんまで! 10年経ってここまで変わらないって、それはそれですごい!と感動したのを今思い出しました。だから前作と変わらないのも、間違いじゃないよね。

いちばん変化が起きそうな、シャーロックとアイリーンの関係性

ミュージカル『憂国のモリアーティ』スペシャル対談

――演じるのが楽しみな楽曲やシーンはありますか?

平野 列車の中で展開する『二人の探偵』は、前奏が始まった途端「来るぞ、来るぞ来るぞ……!!」と思っていた曲だよね。

鈴木 ゲネプロで大事故を起こした曲だからね。まさに脱線した経験があるという意味では怖い楽曲ですが、ハマったら素晴らしい曲になるのも分かっているので。

平野 映像を振り返ったときに、僕らふたりの「突発的な犯行です/だ!」という歌詞で終わるのを観て、自分たちで思わず「すごい!」って言っちゃったもんね(笑)。「これどうやってたっけ!?」と思ったもん。

鈴木 合間合間にセリフも挟まるしね。今回ヒロキとか、「難しいっ! もう一回お願いします!!」って、きっと言うと思うよ(笑)。

三好 個人的に楽しみなのが、アイリーンとシャーロックの関係性。『大英帝国の醜聞』はこのふたりの話でもあるので、初恋のようでもありどこか湿っぽくて特別なふたりの関係性が、今回はどんな風に描かれるのか、気になっているところです。「シャーロックが『The Woman』と呼ぶ時には、アイリーン以外は指さない」というくらいですから。

平野 確かに。せしさんが裏でもシャーロックへの愛がすごいんですよ。会うたびにいつも「シャーリー!」って言われるから。

鈴木 『モリミュ』愛がダダ漏れだからね。愛が服を着て歩いているような人だから、せしさんは。そうなると、今回そこも変わるところかもね。

平野 けっこう変わると思う。アイリーン役の(彩凪)翔ちゃんがどう来るかで、ラストの別れの言葉も変わってくるだろうなと思っています。翔ちゃんとは西森さんのシリーズもので共演したことがあって、そこでは感情のない未来人役だったんですよ。ひとつの作品で女役も男役もやるのを観るのも初めてで今から楽しみですし、今回いちばん変わるのはそこだと言えるかもしれません。

鈴木 キャラクター的にも大きな役割を持つ人ですしね。僕はただ見守っております。

――ちなみに『モリミュ』の音楽を手掛けているただすけさんとは、何かお話しされていますか?

平野 ただすけさんとは話せていないな。

鈴木 僕も「飲みに行きましょう!」ということしか。

平野 でも曲のアレンジは絶対変わるよね。例えば列車の曲も、ただすけさんは絶対に変えたいと言っていると思うんです。Op.5まででいろんなパターンを試してきたなかで、そのまま同じことをする人ではないと思います。

鈴木 「面白いの思いついちゃったからやってみようよ~。できるできる~!」って(笑)。

三好 大事な曲になってくる『Catch Me If You Can』もありますね。

鈴木 そうですね。あのメロディも変わっちゃったりして!?

平野 それは大事(おおごと)だよ?(笑)

鈴木 「これを変えたほうが面白くない?」「いや、そこは変えないで行きましょう!」という各所とのクロスオーバーがまた起こると思うので、それも今から楽しみです。

――ちなみにプロデューサーより、「西森さんからはすでに4拍子から3拍子に変えたいと、挙がっている曲がある」と。

平野 ……ってことは、俺じゃないな! 基本シャーロックは3拍子だから、ウィリアムチームだ(笑)。

鈴木 やだよやだよ、ヒロキが歌うところにして!(笑) 変拍子が多いのも、脚本でほぼフィックスしていたことが稽古でガラッと変わるのも『モリミュ』ならではで、僕らも始まってみないことにはどうなるやら……!という感じです。だから新キャストさんたちからも「こっちのほうが面白くないですか?」という意見をたくさん聞きたいですね。これはオーバーな例えですが「勝吾さんたちがOp.1からやっているとか、関係ないですよ! こっちのほうが絶対良いです!」くらいの風を吹かせてくれ流ことを期待しています。

思わぬ人の涙にくらったコンサート。“2度目の青春”

――昨年7月に行われたコンサートの思い出も、この機会にお聞きしたいです。

三好 歌付きトークショーのようなコンサートで、トーク部分がすごく面白かったです(笑)。

鈴木 僕らもあんな形になるとは思っていなかったです(笑)。

平野 漫談みたいだったよね(笑)。

三好 ああいったガラコン形式も、ミュージカルだからこそ実現できたひとつの夢と言えると思います。それもお客様の声があったからこそ叶ったことであり、CD化含め、『モリミュ』が歌だけでも価値があると思っていただける作品になってくれたことが、私も嬉しかったです。そんな歌の素晴らしさはもちろんとして、改めて感想はと聞かれると、やはり髙木さんのお話になってしまいますね。

一同 (笑)。

三好 まさか涙されるとは思っていませんでしたし、それもいちばん泣かれるとは思ってもいなかったので、『モリミュ』愛を感じて、こちらまで泣けてしまいました。

平野 また泣きっぷりが最高でしたもんね!

三好 初めてお聞きする想いもあって、あれだけ『モリミュ』とレストレードを愛してくださっていたことが、嬉しかったです。後日談としても、実際に現行犯を捕まえられたというニュースで『モリミュ』の映像が使われていたり、それも『モリミュ』をはじめとする刑事などの役作りのおかげだとお話ししてくださっていたりしていて、最後の最後まで髙木さんに全部持っていかれたなと。

鈴木 本当に、しゅんりーさんって『モリミュ』をそんなに好きでいてくれてたんだ!と感動しました。

――ちなみに髙木さんは裏でも泣きそうなご様子でしたか?

平野 そんな雰囲気ではなかったよね?

鈴木 ないない。だからみんな「嘘でしょ?」とくらっちゃって。

三好 最初でしたもんね。

平野 そうなんですよ。急に「……あれっ?」から始まったから、最初はボケなのか本当なのか分からなかったんです。

鈴木 ボケじゃないことに、また感動しちゃってね。

平野 そうそう。あの瞬間に全員くらったもんね。思わず隣を見たら、こっちではくぼひで(アルバート役・久保田秀敏)が彫像のように美しい涙を流していて。それはそれで驚かされていました(笑)。

鈴木 フレッド(役・長江崚行)とモラン(役・井澤勇貴)もヤバかったから。

平野 あのふたりは、(Op.1~3でフレッドを演じた)赤澤遼太郎が出演する時点で、けっこうヤバかったじゃん?

鈴木 だからあの日は涙腺が崩壊してた。自分たちが思っている以上に、みんな『モリミュ』が好きなんですよ。良くんからの手紙を読んでも「そんなこと言ってくれるんだ……」と感動しましたし。自分は『モリミュ』というこの場所が好きなんだ、大切なんだ、本当にありがたい……という感覚が、舞台に立つことで二重にも三重にも押し寄せてきて、それが嬉しかったです。

平野 なんだか2度目の青春をしているような感覚でした。普通の2.5次元舞台に比べたら、年齢も経験値も上なはずなのに、楽屋でも青臭いやりとりをしていて。青春の匂いがしましたね。

――コンサートで披露できて楽しかった曲は?

鈴木 それぞれの歌を交換するのも楽しかったですし、ゲストさんがいらっしゃらない回で、全員でスペシャルメドレーを歌ったのも楽しかったです。何より、自分が歌えて嬉しかったというよりも、歌ってもらえて嬉しい!という気持ちのほうが強かった気がします。それこそしゅんりーさんが『刑事屋のブルース』を歌う後ろでみんなでコーラスをやるのも、この形でしか成り立たない演出で、みんなの仲が良いからこそ心から楽しいと思えた一幕でした。くぼひでが暴走していたのもめちゃくちゃ面白かったし(笑)。それぞれが全力で楽しみながら臨むことができ、それを楽しんでくださるお客様との相乗効果で、さらに楽しい時間にできていたのが良かったです。

平野 僕はミルヴァートン役・藤田玲さんの歌を歌ったんですけど、出だしを間違えてしまい、お詫びの連絡をしました。「観たよ」と返事をいただきまして、「本当にすみません……」と。それだけが心残りです(笑)。あとはアンサンブル含む歴代キャストがたくさん観に来てくださったのも、嬉しかったですね。それで言うと、Op.1のみの出演だったダブリン男爵役・山岸(拓生)さんや、ホープ役・山﨑(雅志)さんも、ずっと『モリミュ』を観に来てくださっているんですよ。そういうところでも支えられているなと感じていました。キャストだけでなく、別現場の音響スタッフさんが「観に行きました!」と声をかけてくださることもあって、本当に愛に包まれた現場だなと感じます。

ウィリアムたちに血が通い、人間なんだという実感を『モリミュ』がくれた

ミュージカル『憂国のモリアーティ』スペシャル対談

――コンサートの裏話があれば教えてください!

鈴木 僕が出とちりかけました。

平野 あれは間に合わないと思ったもん。まさに悪魔が舞い降りたように飛んできて、大爆笑だったよね(笑)。でも映像で観たら、テンションが高いまま入ってきたのかな?って感じで、全然不自然じゃなかったよ。裏では「やべー!!」と言いながら、勝吾くんが走っていくのを見ていたから、面白かったけど(笑)。

鈴木 走りながら入ってきてそのまま歌い出すという、コンサートならではの一幕でした(笑)。

平野 あとはせしさんが、舞台袖の座敷童になっていたよね。ずーっと袖にいて、オープニングからずーっと泣いているんですよ!

鈴木 よくそんなに涙が出るね?っていうくらい。「今日も観にきちゃったー!」と、本当に連日いたもんね(笑)。

平野 これまで外部のイベントの際はピアノを弾いてくださっていた、ただすけさんの演奏だったことでも、また色が変わったところがあったなと感じます。

鈴木 変わりましたね。普段は可愛らしい方なんですけど、ピアノを弾くと男を出してくるなという印象を受けました。

平野 「俺についてこい!」とグイグイ引っ張ってくれる感じだよね。

鈴木 それに感化される感じがしました。バイオリンのしゅうちゃん(林周雅)もノリノリだったしね。

平野 ノリノリだったね(笑)。

――新作公演に挑む『モリミュ』という作品に、三好先生は改めてどんな魅力を感じていらっしゃいますか?

三好 漫画は紙にペンで描くものですから、物理的に血が通うということはないじゃないですか。でも鈴木さんや平野さんたちが舞台で演じてくださったことで、ウィリアムやシャーロックたちが二次元から三次元になり、「人間として動くと彼らはこうなるんだ!」と実感させてもらえるところが、『モリミュ』は素晴らしいなと思っています。特にウィリアムは当初、作り手としては血も涙もないキャラクターだと思っていたんです。でもそうではなかったと、こちら側が気付かされたことがすごく大きくて。
鈴木さんからも直接「ここでウィリアムが悩むのはおかしくないですか?」と言われたこともあるんですけど、それはそもそもは鈴木さんのせいですよ!と(笑)。『モリミュ』のおかげで、“キャラクターに大事なものは何か”という大切なことに気付けたと思っています。

鈴木 原作の先生からそんなお言葉をいただけるなんて、5年間演じてきて本当に良かったです。きっと心情を歌にするという、ミュージカルの形だったからというのも大きいのかなと思います。「孤独」というワードひとつとっても、孤独って、何? 自分自身でそれを口にするかな?……などと、西森さんともプロデューサーを介して原作サイドとも、この言葉を発していいのか、どういう表出の仕方にするのか。ウィリアムの内と外のギャップをどう見せるか、話し合いを重ねながら、一緒に歩んできたという感覚があります。

――最後に今作の見どころを踏まえて、メッセージをお願いします!

鈴木 『大英帝国の醜聞』は、ウィリアムとシャーロックの運命の始まりであり、『憂国のモリアーティ』という作品が持ついちばん大切な根幹や目的が描かれるエピソードです。『憂国のモリアーティ』とは何なのか、それがいよいよ始まるぜ!と最初に大きく提示しているがゆえに、このOp.2だけ観ても成立する部分があるかと思います。これまで応援してきてくださった方も『モリミュ』は初めてという方も、ぜひこの作品の新たな始まりを見届けてくだされば幸いです。

平野 例えるなら、初めて行く遊園地のような作品になっています。息もつかせぬ“列車”やら、シャーロックとアイリーンの湿っぽさ、はたまたジョンとの友情、変装におとぼけに仮面舞踏会まで……。さあ、何から乗りますか?という面白さがありますので、それをぜひ劇場でお楽しみください。

三好 今まで『モリミュ』で走ってきてくださったこと、そして新シリーズをやってくださること――役者の皆さんへは、ただただ感謝しかありません。原作の連載が続いているのも『モリミュ』があったからという気持ちもあり、『モリミュ』が原作を支えてくれていた部分は大きいと感じています。その逆もきっとあるでしょうし、とにかく感謝の念に尽きません。『Reprise』という形で、新しい『モリミュ』が観られることが嬉しいです。私も上演を楽しみにしています。

取材・文/鈴木 杏(ツヅリア)
撮影/菊地寛子(集英社)