WiiWare MMV / Marvelous Entertainment Inc. WORLD GAME PARADE/ワールドゲームパレード

開発会社インタビュー

ゾンビ イン ワンダーランド/Akaoni Studio ディレクター:Jose Manuel Iniguez(ホセ・マヌエル・イニゲス)

— このゲームを作ろうと思ったきっかけは?

ゾンビもお伽話も、特に気に入っているテーマです。 ゾンビは敵として完璧です。絶対悪で、目的は人間を食べることただ一つ。こちらからやっつけようとしなければ、彼らは決して止まることはありません。それに、撃てば、腕が飛んだり、飛び散ったり、そんなところが面白いですね。お伽話は、子供向けの話なのに、実はその内容も登場人物の設定も、とても奥深かったりします。

お伽話の純真そうなキャラクターたちをゾンビの群れに襲わせて、マシンガンを持たせて、本当の自分をさらけ出させたら面白いのではないかと思ってこのゲームに取り入れました。私自身、ユーモアのあるものが大好きなので、ゲームを遊ぶときには思い切り笑い、楽しみたい。だから、この『ゾンビ イン ワンダーランド』もとびきりシュールなストーリーにしました。


— 桃太郎のステージで参考にした日本の地域、時代はありますか?

イメージは、昭和初期から中期にかけての東京です。実際の桃太郎の時代とは異なりますが、「ワンダーランド」の中で展開される話ということで、お伽話を忠実に再現しているわけではありません。少しノスタルジックな、「古き良き時代」を上手く表現できていると思います。


— キャラクターデザインを日本の絵師bomiさんに依頼したきっかけは?

キャラクターデザインは、開発当初から日本のマンガやアニメ風にすることを決めていました。でも、海外のイラストレーターを使っても、やっぱり本場にはかなわない。海外で日本のマンガの真似をしてビジュアルに失敗した例も多く、やるからには日本のイラストレーターさんに依頼しようと思いました。

それで、日本のたくさんの上手なイラストレーターさんを探し、その中からbomiさんを選びました。bomiさんの可愛らしく綺麗な作風がこの企画にはぴったりでしたし、やる気があって頼りになる人柄も印象的でした。イラストだけでなく、ゲームデザインのいろいろな部分においても参加されて、たくさんのアイデアを出していただきました。bomiさんと一緒にお仕事ができて本当によかったです。bomiさんのキャラデザインは欧米で評価され、日本でも違和感なく受け入れていただけているようですし、とても満足しています。

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— なぜ白雪姫はセクシーなのでしょうか?

当然です(笑)。実際の白雪姫の話では、その美しさゆえに殺されかけ、助けられたわけですから。だから、よっぽどセクシーな方だったんでしょうね。そこまでの美女なら、自分の美貌に気づいていないわけがない。そうなると、その美貌をアピールせずにはいられない。だから、実際に白雪姫がいたらこんな感じだったんじゃないでしょうか(笑)。


— 桃太郎のBGMは誰が作ったのでしょうか?歌い手は?

音楽はAKAONIの音楽担当が作曲しました。歌い手さんは、バルセロナで活躍されている日本人のオペラ歌手MIKIMORIさんです。普段オペラ以外の歌はあまり歌われないそうなのですが、この企画のお話をしたとき、面白そうだからと快諾してくださり、歌詞のアレンジまで担当してくださいました。

作曲の際に参考にした曲は、「リンゴの唄」などです。レトロな町並みにぴったりだと思いました。普通のゲームっぽいBGMではなく、試しにこの曲をステージと合わせてみたら、すごくシュールで面白くてゲームにぴったりだったんです。


— スペインではゲームの開発は盛んですか?

実を言うと、他のヨーロッパ諸国に比べてあまりゲーム開発はされていません。バレンシアのゲーム開発会社はAKAONIだけですし、スペイン中でも10社あるかないかです。

昔からゲーム業界は盛んではなかったので、私自身ゲーム開発の勉強のために日本に留学したくらいです。でも最近では、大学でゲーム開発の講義が開かれるようになってきましたから、少しずつ興味のある人が増えているんでしょうね。これからたくさんのゲーム開発会社が出てきて、スペインのゲーム業界も変わっていくのではないでしょうか。


— スペインではどんなゲームが人気ですか?

スペインではたくさんのゲームが売られていますから、いろいろ遊ばれていますが、やはり定番はサッカーゲームやFPSですね。常に人気があります。


— スペインで日本のマンガやゲームなどは人気ですか?

最近は日本の文化自体に興味を持つ人が増えていますし、若者の間ではマンガやゲームはとても人気があります。テレビだと、子供が見る時間帯なら「ドラえもん」、「クレヨンしんちゃん」が放送されていますし、昔は私も「ドラゴンボール」を見ていました。日本のゲームもアーケード時代から人気がありますね。ここ数年で、店頭に並ぶ日本の家庭用ゲーム機用のソフトもずいぶん増えました。

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— 好きな日本のゲームは?

カプコンの『1942』アーケード版です。私がゲーム開発に興味をもったきっかけとなったゲームで、名作として今でも気に入っています。『スーパーマリオ64』にはとても影響を受けましたし、最近では『ストリートファイター4』を楽しんでいます。アクションゲームが特に好きですね。


— 日本のユーザーへひとこと

『ゾンビ イン ワンダーランド』は、大好きな日本を想い、開発したゲームです。よく日本のゲームっぽいと言われますが、スペイン人開発者としてのスペインらしさもやはり入っていると思います。そしてそのスペインらしさというのは、日本のユーザーの方だからこそ、かえって感じることができるものだと思っています。そんなところを見つけながら、たくさんの人にこのゲームを楽しんでもらえたらとても嬉しいです。


— スペインで一番美味しい食べ物はなんですか?

バレンシア地方では、やはりパエリアが有名ですね。伝統的なパエリアは、この地方特産の野菜をふんだんに使ったもので、大変美味しい家庭料理の一つです。他にも米料理が豊富で、日本の方にも喜ばれます。


— スペインで今一番話題のニュースや場所を教えてください。

今一番話題のニュースは『ゾンビ イン ワンダーランド』が日本でマーベラスエンターテイメントさんから発売されること。今のスペインゲーム業界はこの話題でもちきりです(笑)。話題の場所は 春になれば各地でいろいろな祝いがされますが、中でも有名なのは3月のバレンシアの火祭り、4月のセビリアの春祭りが有名です。この2つはスペインの3大祭りにあげられていて、大変華やかで見ごたえもあります。国内外を問わず、多くの観光客でにぎわいます。

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