ウィリアム・ジェームズ・モリアーティ役 鈴木勝吾
シャーロック・ホームズ役 平野良
チャールズ・オーガスタス・ミルヴァートン役 藤田玲
前作から約1年半の時を経て、2023年1月27日(金)から幕を開けた、ミュージカル『憂国のモリアーティ』Op.4 -犯人は二人-。現在、各種配信サービスで最新公演の物語に繋がる『モリミュ』シリーズ3作品が、アーカイブにて配信中!
そこで今回特別に、ウィリアム役・鈴木勝吾さん、シャーロック役・平野良さん、ミルヴァートン役・藤田玲さんに、前作Op.3 -ホワイトチャペルの亡霊-を振り返ってのお話を語っていただきました!
――2021年8月に上演されたミュージカル『憂国のモリアーティ』Op.3 -ホワイトチャペルの亡霊-で、皆さんが特に気に入っている楽曲を教えてください。
鈴木 「お気に入りの曲は?」とよく聞かれるんですけど、やっぱりOp.1~3どれをとっても、全曲好きなんですよね。特にOp.3は好きな曲ばかりで。ウィリアムとシャーロックで歌う『巡れ輪舞曲』も好きだし、ラストに歌う『扉をあけて』~『最後のはじまり』もいいし、モリアーティチームで歌う『こころを抱いて』も好きですし…。自分のソロも良くんのソロも、本当にどれもいいのですが、やっぱりOp.3で挙げるならミルヴァートンの曲が印象深いです。「玲くんはミルヴァートンをこういうふうに演じるんだ!」と感じましたし、「(音楽の)ただすけさんはミルヴァートンの楽曲をああいうふうに作るんだ!」とインパクトがありました。
平野 僕はやっぱり、レストレード初となる長尺ナンバー『こわい こわいな なぞがいっぱい きりさきジャック』ですかね! 毎回稽古場で汗ビッシャビシャになりながら、全力で歌うしゅんりーさん(髙木俊)の記憶が今も蘇ります(笑)。Op.1~2ではハドソン役・七木奏音ちゃんがほっこりできるシーンを担ってくれていたけれど、Op.3では彼女がいなかったため、レストレードが一手に引き受けてくれたな、と。そんな面白ナンバーもありつつ、警察署で戦う場面ではカッコいい表情も見せてくれて、レストレードがOp.3の作品としての幅を広げてくれたなと感じています。今回のOp.4でもレストレードが活躍する一幕があるんですけど、執筆期間中に脚本・演出の西森(英行)さんが「あのシーンどうしたらいいだろう…」と悩んでいらっしゃって。一体どんなシーンになるのか、僕も楽しみです。しゅんりーさんは僕とワトソン役・ケンケン(鎌苅健太)のバランスを見ながらレストレードとしてどうあるか、調整してくれているんだろうなと思いますし、しゅんりーさんでなければ、レストレードというキャラクターはあそこまで広がらなかったと思います。
藤田 僕はOp.3からの参加になるので、どの曲も新鮮ですごくいいなと感じるのですが、勝吾くんも挙げた『巡れ輪舞曲』はやっぱり好きです。楽曲自体のカッコよさはもちろん、あの難解な曲を歌い上げる二人が最高にカッコいい。それに良くんが挙げたレストレードの曲は、一番“ミュージカルしてた”なと思います。僕、Op.3は出番的に楽屋にいることが多かったので、舞台から帰ってくるみんなの表情も見ていたんですけど、しゅんりーさんは毎回「ヤバい、ヤバい…っ!」って感じの顔なんですよ。それで「今日どうだった?」とか「今日はちょっとダメだったなぁ…」とか、いつも自信なさそうにしていたんですけど、「いや、あなたが一番ミュージカルしてるよ!?」と思っていて。
鈴木・平野 (笑)。
藤田 「あの楽曲こそ、“ザ・ミュージカル”だから! あれが本物のお芝居だよ!」と話していました。それからシャーロックの「嘘か真実か」というフレーズが印象的な『名探偵の憂鬱』は、良くんの感情の昂りがめちゃくちゃいいな、と。良くん自身は裏で「今日行き過ぎたわ~」と言っていることもありましたが、そんなの全然気にならないくらいカッコよかった。またウィリアムの『孤独の部屋に』は、ピュアと表現するのが正しいか分かりませんが、とにかくものすごく勝吾くんの歌声が透き通っていて。あの歌の後に僕のミルヴァートンが出ていくので、こっちが邪悪だからこそより透明度が際立ち、聴いていて気持ちが良かったです。
――先ほどお話に出てきたシャーロックの「嘘か真実か」や、『ホワイトチャペルの鐘の音は』に出てくるミルヴァートンの「悪の手管に」など、『モリミュ』カンパニーでは印象的なフレーズを役者さん同士で真似をして楽しんでいる姿が見られ、微笑ましいです。
藤田 基本真似してるのは、ルイス(山本一慶)だよね。
鈴木 一慶とケンケン筆頭に始まって、そこに良くんが乗っかって、さらにモラン役の井澤(勇貴)が加わっていく感じだね。
藤田 僕と勝吾くんはけっこう楽屋で静かにしているタイプなんですけど、後のみんなはうるさいんですよ。
一同 (笑)。
鈴木 でも楽しいよね。
藤田 うん、めちゃめちゃ楽しい。
鈴木 逆にあれだけ作品に関係ないことで騒いでいても、イラッとこないのが自分でも不思議です。作品に関する作業でうるさくなるのは、仕方がないじゃないですか。でも、この座組みはシンプルに、遊んでいてうるさい(笑)。それなのに静かに過ごす勢の僕らも、気にならないんですよ。
藤田 わかる。Op.3のときは、オジさんが壺に入っているゲームが流行っていて。良くんがやってたやつ。
平野 違う違う、あれ最初は井澤がやってたんだよ!
藤田 井澤だったのか! 俺まだあのアプリ、スマホに入ってるよ(笑)。
平野 俺も入ってる! やってはないけど(笑)。
鈴木 僕は全然上手じゃなくて。
藤田 そうね。「勝吾くん、意外と苦手なんだ!」と思った。
鈴木 苦手だよ! 今思い出しただけでも、手汗出てきたわ。
一同 (笑)。
平野 今回も誰かがやり始めたら、また流行るかな?
鈴木 それか、何か新しいものが流行るかもしれないね。
藤田 たしかにね。
――藤田さんから見たモリアーティチームとホームズチーム、それぞれの雰囲気をぜひ教えてください。
藤田 モリアーティチームは、本当の兄弟みたいな温かさがあるというか、作中の関係性と似ているように思います。勝吾くんを中心にディスカッションしながら作っていて、まさに『モリミュ』カンパニーの核なんだなと感じますし、家族のような印象です。
鈴木 アルバート役の秀くん(久保田秀敏)とは別作品での共演も経て、関係が深まっていると思います。それに最近、一慶が面白い。殻を脱ぎはじめましたね。
平野 他作品で演出業にも携わるようになってきたからか、モリアーティチームをディレクションすることもあるもんね。
鈴木 そうそう。
藤田 対してホームズチームは、大人な印象。「自分はこうやるよ」というものをお互い持ち寄りつつ、全員がバランスを見ながら、相手のお芝居にも合わせて回している感じが、すごく大人でプロだなと思いました。
平野 いや~、奏音ちゃんがいなかったOp.3のこっちチームなんて、新橋の高架下のオジさんたちみたいな感じじゃない?
鈴木・藤田 ははは!
平野 だからOp.4で、奏音ちゃんがいるところを見てほしいわ。もう、全然違うんだから! おばあちゃん家の縁側で感じる日向とか、優しい太陽が降り注いでいる高原みたいな雰囲気だからね。
藤田 奏音ちゃんとは過去に共演したことがあって、彼女が場を支配するんだろうなという気はします。
平野 それはあるね。多分大人って、挫折を経験したうえで、それを受け入れた末になるものだと思うんですよ。そんな大人なオジさんたちは、奏音ちゃんがいると癒されるんです(笑)。
藤田 なるほど。その絵は想像できるな(笑)。
――リーダーのおふたりからも、ご自分の「ここは相手チームに負けない!」と思う強みをお聞きしたいです。
鈴木 やっぱり人数が多いところは、僕らの強みだと思います。裏を返せば、そこが弱みになっていないということは、うまくいっている証拠なんだろうなと。例えば複数人で歌えばダイナミズムは生まれるけれど、そのぶん揃っていないと失敗するリスクも大きい。「チームでいることの強さを信じてみよう」ということも、僕自身『モリミュ』で学んだことで、そう思わせてくれた人たちとの絆ができているなと思っています。「ここはこの人のシーンだから、自分は舞台上でこういよう」といったチームとしてのバランスも、最近いっそう心地良くて。(大湖)せしるさんがボンドとして、(石坂)勇さんがジャックとして加わってくれたことが、呼び水となった部分もある。水はただ溜まっているだけでは腐りますから、うまく流れていろんな人に作用しているところが、「負けねぇぞ」というよりも、単純に僕らの強みというか、このチームのいいところだなと感じます。今回はフレッド役として長江崚行くんが新たに加わり、また変化が起こるだろうと思います。実は崚行くんとは以前偶然出くわし、ほぼ初対面のなか一度飲んだことがあるんですよ。本作の稽古ではまだご一緒できていないので、どんなフレッドになるのかな?新しいモリアーティチームのバランスはどうなるのかな?と思っています。井澤も何か企てている気がするし(笑)。
平野 僕としては、僕が好き勝手やらせていただくなかで、ケンケンさんとしゅんりーさんと奏音ちゃんが世界観をカチッと固めてくれているなという印象です。作品としては、モリアーティチームの役割がダークヒーローなのに対して、僕らホームズチームは軍医だったり警察だったりと、どちらかといえば市民側。本来ヒーローは光であるところ、本作は逆で、モリアーティチームが黒く染まりつつ問題を捌いてくれる。そのぶん僕たちホームズチームは、光輝いてホカホカしているようなチームわけなのかなと捉えています。
――最後に鈴木さんからお客様へメッセージをお願いします。
鈴木 新しい風が次々吹いて、作品が上り調子なことを感じるのに比例して、不安を抱いているのも本心です。物語も着実にクライマックスへと向かっているなか、僕がウィリアムとして舞台に立てる感謝の気持ちを、クオリティアップに繋げていきたい。そして階級社会が敷かれたあの時代の大英帝国で、ウィリアムはなぜその道を選ばなければいけなかったのか、しっかり皆さまにお届けしたいなと考えています。引き続き応援のほど、よろしくお願いいたします。
取材・文=鈴木 杏
■配信作品
ミュージカル『憂国のモリアーティ』Op.1
ミュージカル『憂国のモリアーティ』Op.2 -大英帝国の醜聞-
ミュージカル『憂国のモリアーティ』Op.3 -ホワイトチャペルの亡霊-
■配信・販売期間
定額制配信サービス
Op.1:2022年12月1日(木)12:00~2023年3月31日(金)23:59
Op.2:2022年12月17日(土)12:00~2023年3月31日(金)23:59
Op.3:2023年1月5日(木)12:00~2023年3月31日(金)23:59
個別課金配信サービス
全作品:2022年12月1日(木)12:00~2023年3月31日(金)23:59
■販売価格(個別課金配信サービス)
各1,600円(税込)
■視聴可能期間(個別課金配信サービス)
購入から7日間
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