レオナルド・ウォッチ:百瀬朔
クラウス・V・ラインヘルツ:岩永洋昭
ルシアナ・エステヴェス:田上真里奈
ザメドル:小野健斗
ザメドルの犬:郷本直也
―― 舞台『血界戦線』の第3弾公演(Blitz Along Alone)が決定した時の感想をお願いします。
岩永:原作の世界観も含め、とても素敵な舞台だと演じながら感じていましたので、素直に「嬉しいな」という思いでした。第1弾公演、第2弾公演(Beat Goes On)、もちろん第3弾公演でもそうなるんですが、バンドの生演奏をバックに演じられる舞台というのは、そうそう経験のできるものではないですし。
百瀬:僕も同じく率直に「嬉しい」という思いでした。ただ、第1弾、第2弾で原作のかなりのエピソードを演じさせて頂いたので、第3弾ってどういうエピソードをやるのかなという不安はありましたけど(笑)。
小野:座組が出来上がっているシリーズ物の舞台劇に、途中から参加させて頂くという経験は久しぶりなんです。百瀬くんとは以前、舞台で共演した事があるんですが、岩永さんとは今回始めてご一緒させて頂きます。なので、舞台『血界戦線』に参加できて嬉しいというワクワク感と、自分がその中でどういう風に立ち振る舞えるのかなという不安が同時にありました。
郷本:今回、新たに参加するこの3人のキャスト(田上さん、小野さん、郷本さん)は、たまたま昔から長い付き合いの間柄で共演経験もありました。それがまずとても心強かったです。僕個人としては、今回の舞台で初めて共演させて頂く役者さんも多いので、いま小野くんも言ってましたが、その中にどうやって溶け込んでいこうかという事が気がかりでしたね。
田上:今回の舞台参加で初めて『血界戦線』という作品に触れたので、まず原作や舞台がどういった空気感で構成されているのだろうと。演出の西田(大輔)さんは、どういった舞台の創り方をされるんだろうとか、あと単純に原作漫画を読ませて頂いて「このシーンを、いったいどうやって舞台で再現するのだろう?」みたいな素朴な疑問も思い浮かんできたりしましたね(笑)。とにかく未知な部分が多すぎて、少しソワソワしてしまいました。
郷本:特に田上さんの場合は、西田さん演出の舞台に出演するのも初めてだもんね。
田上:そうですね。初めてづくしです。上手くチームに溶け込めるよう頑張ります。
百瀬:これまでもそうだったんですが、舞台『血界戦線』の現場は誰かが率先して音頭をとって、まとまっていくといった感じではないんですよ。原作の『血界戦線』もそうだと思うんですが、チームでありながらも各々が自立し、信頼し合って個人個人で立っている…みたいな。一緒に稽古をこなしていくうちに、結果的に一つのチームとしてもまとまっていくという印象ですね。
――:初参加される皆さんは『血界戦線』という作品に対し、どのような印象を持たれましたか?
田上:とにかく世界観が独特な作品だなという印象です。一見、とっつきにくそうで複雑怪奇な物語が展開されているんですが、それでいてきっちりエンタメをしているなと。
小野:面白くてユーモアな部分と、切なくて涙するようなシーンのバランスが、とても取れている作品だと感じました。なので読み進めていて飽きないんですよね。確かに物語は難しそうに思えるんですが、没入感が凄いんですよ。
郷本:僕は先に今作の台本を読ませてもらって、原作に関しては今猛勉強中です。ただ、最初に舞台の台本だけ読ませてもらった時には、作中で何が起こっていて、果たしてどういう状況なのか理解するのに時間がかかって…(汗)。一度、台本を閉じて深呼吸しましたね(笑)。
岩永:確かに、最初に台本だけ読むと混乱すると思うよ。原作からして、普通の少年漫画とも少し毛色が違うしね。
郷本:やっぱりそうなんですね(笑)。
小野:原作に触れて感じたのは、舞台のキャストが本当に皆さんピッタリな配役だなと。今日、こうして岩永さんとは初めてお会いしましたけど、対面して「クラウスだ!」って思いましたから。
岩永:…そうかな?(照笑)
一同:(笑)。
――:ビジュアルに関しては、原作ファンの厳しい目から見ても納得のクオリティだと評判ですよ。
岩永:それは嬉しいですね。
百瀬:スタッフさんの力が大きいんですよ(笑)。完璧にキャラクターに仕上げてくれますから。
――:田上さん、小野さん、郷本さんは、舞台『血界戦線』をもうご覧になられましたか?
郷本:残念ながら、まだ編集されたダイジェスト映像しか見られてないんです…。(座談会収録時)
田上:私もそうですね。
郷本:でもその、短い映像を拝見しただけでも、キャラクターのシルエットや立ち姿、所作には目を奪われました。皆さんの細かな演技までは追えてないんですが、抜粋されたシーンだけを見ていても、百瀬くんの演じるレオの成長が見て取れました。少年漫画らしく、主人公が成長していく物語なんだなというのはすごく伝わってきましたね。
百瀬:確かに、第2弾まではそういうエピソードが多かったかもしれないです。
小野:そんな舞台に、今回僕らは悪役として参加して…。
郷本:ライブラと戦う役という…。
岩永:今回「どれくらい殺陣が多いんだろう?」って、ちょっと心配だもん(笑)。
百瀬:きっとめちゃくちゃ激しいし、これまでよりも多いと思います(笑)。
――:百瀬さん、岩永さんは3度目の公演となりますが、第3弾公演に向けての意気込みをお聞かせ下さい。
百瀬: 第1弾と第2弾公演では役的にも舞台上で走り回ったりすることが多く、とにかく必死で…舞台を降りたら細かいことはあまり覚えてないくらいでした。まさに作中のレオと同じような心境だったんです。今作でもそういったシーンはあるんですが、戦いを側で傍観している立場になったり、主人公ではなくちょっと引いた目線で第三者的なポジションに落ち着いていることも増えています。なので、そういったレオの立ち振舞なんかも上手く表現できたらなという思いはあります。護られるだけの弱い存在ではなくなり、以前よりもライブラの一員としての自覚も芽生えてきていると思いますしね。
岩永:誤解を招く発言かもしれないですが、この舞台『血界戦線』に関して言えば、事前にあまり「こうしよう、こうしてやろう」みたいなことは考えないんです。西田さんを始めとするスタッフの皆さんや共演者の方々を信頼してますから、まずは演出の指示通りに動いてみて、自分なりに最大限に忠実に演出家のプランを実践できるように努めます。そうすると結果的に、ファンの方々からお褒めの言葉を頂けるような良いものが創り出せていけるんです。過去2回の公演でそういった経験をしているので、今作でも現段階では演技プランみたいなものは考えていないですね。ただ、今作はクラウスの台詞量がこれまでと比べても凄く多いので…そこは頑張ってモノにしていこうかなと(笑)。クラウスの台詞の最大の課題でもある「諱名(いみな)」もありますしね…(第1弾公演の時のように)また紙に書き出して繰り返し覚えますよ(笑)。
百瀬:普段は絶対に発声しないような単語の羅列なのに、絶対に噛んじゃいけない台詞ですからね(笑)。
岩永:初めは「本番で少しぐらい噛んでも分からないんじゃないの?」と高をくくってたら、演出でテキストがきちんと舞台上に表示されて…お客さんも確認できちゃうようになってて(笑)。でも毎晩のように音読して、稽古で1ヶ月間みっちりやれば、完全に覚えられたよ。緊張はするけど、言葉自体を忘れることは無くなったかな。
郷本:ちなみに、今でも言えますか?
岩永:言えますよ! 例えば…「エルルエル・ルカンド・ロゾ・ティエトカゥア・ギ・ムルムハヴァト」みたいな。
一同:おおー!(驚嘆)
岩永:実はアニメの存在に助けられたんですよね。最初に台本で字面だけ見ていた時はなかなか頭に入ってこなかったんだけど、アニメでクラウス役を演じられている小山力也さんの台詞を聞いて、抑揚や文節なんかを理解できた事でだいぶ救われました。ザメドルの登場回もアニメ化されているので、見るととても参考になるからオススメしますよ。
郷本:犬に関しては、あまり台詞は無いですけどね(笑)。
小野:それこそ変身前なんて叫び声だけだから (笑)。
郷本:今回、台本には書かれてないんですけど、小野くんから「やって欲しい」と言われてるアドリブがあるんですよ。
小野:最後、やられるときに「痛ッ!」って言って欲しいなと(笑)。やっぱりほら、台本に無い部分も考えて面白く味付け出来てこそ、役者として呼ばれた意味も出てくると思うからね(笑)。 岩永:で、実際に練習なんかでアドリブ入れてみたら西田さんからあっさり「それ、いらないから」って却下されたりするんだよね(笑)。
一同:(爆笑)。
――:舞台『血界戦線』ならではの出来事などありましたら、新しく参加されるお三方にお話し頂けますでしょうか。
百瀬:アドバイスというわけではないんですが、とにかく台本を読むと、長くて難しい台詞のオンパレードなんです。ただ、台詞回しが本当に面白い作品なので、やりがいはかなりあります。
岩永:舞台『血界戦線』ならではといえば、やっぱりとにかく生バンドの存在感ですかね。
田上:私もすごく楽しみにしてます!
岩永:舞台のオープニング曲なんかも、第1弾、第2弾公演のはすごくカッコよくて。ただ、その曲の拍子に合わせて登場したりするのは実は難しくもあるんですよ。ちょっと独特で…(第2弾公演のオープニング曲は)セブンカウントで登場しなくちゃいけなくて。みんなで工夫しながらやってました。
百瀬:音楽に対するこだわりがものすごく強い作品なので、どの曲も本当にカッコいいんですよね。
岩永:やっぱり良い曲の生演奏に乗って芝居をしていると、演者としてもとても気持ち良いですからね。そこは舞台『血界戦線』の売りの一つだし、僕自身も今作で最も楽しみにしている事でもあります。
郷本:生演奏のバンドが入る舞台って、贅沢ですもんね、そうそうに無い経験だと思います。
岩永:観に来てくれた友人なんかも、バンドの存在感に感動してくれてましたよ。
小野:貴重な体験ですよね、僕らも今から楽しみです。
――:逆に新キャストのお三方からお二人に質問はありますか?
郷本:僕はやっぱり、西田さんの演出方法について気になります。以前にお仕事をご一緒させて頂いた経験はあるんですが、その時は残念ながら時間が短くて、感覚を掴みきれなかった印象があるので…。西田さんと舞台を創り上げていく過程はどんなものなのか知りたいですね。
百瀬:西田さんの舞台の特徴の一つなのかもしれないですけど、最初の頃の稽古は、めちゃくちゃ早く終わっちゃうんですよ。
岩永:とにかく西田さんの稽古って間延びしたり無駄な時間が殆ど無いんだよ。「これって何やってる時間なの?」みたいに感じる事が皆無。もちろん早着替えのシーンみたいな訓練が必要な場面は念入りに稽古するんだけど、かといって通し稽古を無駄に何度もやりすぎるような事はなくて…。西田さんが「もう出来る」と確信したら、あとは役者を信頼して舞台に上げてくれるんだよね。
――:第1弾、第2弾公演は現在Blu-ray/DVDが発売中です。改めて各公演の見所などをお聞かせ下さい。
岩永:両公演とも、オープニングのキャラクターが登場するシーンは、とにかく演出がカッコいいので注目して観て欲しいですね。稽古の段階から、いろんなパターンの魅せ方を模索したりしたんですよ。生バンドの存在感と合わせて、観客を舞台『血界戦線』の世界に一気に引き込んでくれる、最高の掴みだと思います。
百瀬:ライブラメンバーはもちろんなんですが、第1弾公演にはDr.ガミモヅ役で佐々木喜英さんが出演してますし、第2弾では堕落王フェムト役で山本一慶さんが参加しています。お二方とも、本当に魅力的な敵キャラクターを演じて下さっているので楽しんで観て欲しいですね。
――:最後に、ファンに向けてのメッセージをお願いします。
郷本:とにかく今は、無事に公演が上演できる事を祈っています。僕たちはただ、大丈夫だと信じて稽古に臨むだけです。第3弾を迎えられるほどファンに愛された人気のある作品です。今回、僕達を作品に呼んで頂いたという事には意味があるはずです。参加する事で作品に少しでも熱量を与える事が出来たら…作品の力になれたらいいなと思っています。楽しみにしていて下さい。
小野:僕たちが新しく作品に加わる事で、第3弾公演がより刺激的なものになればいいなという思いです。今、まさに頑張って稽古に励んでいますので、ぜひ劇場まで足を運んで欲しいです。
田上:厳しい情勢は続きますが、これまで舞台『血界戦線』を創り上げて来られたお二人(百瀬さん、岩永さん)と、今日こうやってお話させて頂く事が出来て、少し安心しました。キャストの皆さんの胸を借りて第3弾の舞台に飛び込んでいく腹は括れましたので、あとは本番に向けて精進していこうと思います。
岩永:僕もこうして今日、新キャストのお三方と初めて話をさせてもらう事が出来て、とても刺激を受けましたし、よりいっそう舞台が楽しみになりました。これからお互いに良い関係性を築き上げていけたら、舞台も素晴らしいものになると思います。…本当はね、皆でお酒でも飲みに行って親睦を深めたいところなんですよ。でもそれは難しいので…稽古を通じて絆を深めていけたらなと。皆さんに最高の舞台をお届けしたいと思いますので、楽しみにして頂けたらと思います。
百瀬:公演も第3弾になります。前回、前々回以上の舞台を皆さんにお届け出来るようになっていかないといけないと思います。より深まったライブラの結束をお客さんにも感じ取って貰えるようになればいいなと思います。シリアスなシーンやコミカルなシーン、様々な感情が詰め込まれた作品なので、観に来て下さったお客さんには笑って泣いて満足して帰って頂ければ最高だと思います。これから一生懸命、稽古しますので、よろしくお願いします。